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6/14【ABLIC ウェビナー】
EVの高精度センシングに最適なボルテージトラッカ

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ウェビナー発表内容

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みなさま、こんにちは。エイブリック株式会社プロダクトプロモーションユニット武⽥と申します。本⽇は「EVの⾼精度センシングに最適なボルテージトラッカ」と題しまして、お話しさせていただきます。

   

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本⽇のウェビナーの内容です。
このウェビナーでは、私どもエイブリックの紹介に続き、今起きている⾃動⾞の⼤変⾰についてご説明させていただきます。
その中で求められる、⾞載センサの必要性やセンシングへの要求についてお話させていただき、最後にエイブリックから⾼精度センシングへのご提案をさせていただきます。

   

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ではまず、簡単に私どもエイブリック株式会社について紹介いたします。
私たちエイブリック株式会社は、アナログ半導体専業メーカです。ここに表している3つのSをビジョンに掲げ、半導体製品およびソリューションを提供しています。
スモール、スマート、シンプル。より⼩型で、省電⼒な、使いやすい製品・ソリューションによって環境に優しく快適な社会を実現していくよう活動しています。この3つのSは私たちの歴史的背景からもたらされています。

   

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私たちは今から54年前、1968年CMOS ICの研究開発を開始しました。
最初は腕時計向けのアナログクオーツIC製造からスタートし、以来様々な半導体製品を開発製造してきました。⾃動⾞向けには1990年代後半から製品の提供を開始し、2003年には⾃動⾞⽤途に特化した製品の販売を開始しました。現在に⾄るまで多くのお客様に、多岐にわたる⽤途でご活⽤いただいております。
その後、半導体部⾨が分社独⽴し、2018年にエイブリック株式会社と社名を変更、⼀昨年4⽉にはミネベアミツミグループの⼀員として新たなスタートを切りました。

   

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エイブリックの⾞載⽤ICは⾞載市場で20年以上の採⽤実績があります。
コックピットまわりのオーディオやナビゲーションだけでなく、「はしる、まがる、とまる」に関わる為、⾼い品質が要求されるパワートレインECUなどにも使⽤され、⽇本、中国、韓国、ヨーロッパ、⽶国と世界中のTier1から広くご採⽤いただいております。

   

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さて本題に⼊りましょう。
皆様もご存じのとおり⾃動⾞業界は「100年に⼀度の⼤変⾰の時代」と⾔われております。
CASEと称される、「コネクティッド」、「⾃動化」、「シェアリング&サービス」、「電動化」を軸として、それぞれの技術⾰新がすさまじいスピードで進んでおります。
特に、EVシフトや⾃動⾞の⾼機能化の影響は⼤きく、これを実現するために様々な新しいECU・そしてデバイスが開発・搭載されています。
それらの中で、⾞両に搭載される数が増加し続けているデバイスがあります。

   

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それは⾞載⽤センサです。
⾞載⽤センサにも様々な種類があり、例えば温度を監視するための温度センサ、磁界を検出するための磁気センサなどが挙げられます。これらのセンサは、⾃動⾞の多機能化の影響を受け⾞両への搭載数が増加しています。
⾃動⾞1台当たりの搭載されるセンサの数はこの先10年で現在のおよそ1.5倍になると予想されています。
センサは様々な状態の変化を検出して電気信号やデータに置き換えるのでシステムや機能の”⽬”と称されることがあります。⾞両に搭載される”⽬”、つまり⾞載⽤センサは周辺/⾞内環境、または、⾞両⾃⾝の動作を監視することができます。

   

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周辺/⾞内環境の変化を監視している例としては⾞両に搭載されたオートエアコンがあります。
オートエアコンは、設定された温度に⾞室内を近づけるように動作します。温度センサや⽇射センサなどからの情報に応じて、温度や⾵量の制御を⾏い、⾞室内の快適性を向上させます。
更には、乗員数による細やかな温度調整や湿度/におい等も制御対象となるため、⼀つのシステムで複数のセンサが必要になります。これらの複数のセンサ搭載も搭載数増加の⼀因となります。

また⾞両⾃⾝の動作を監視している例としては電動パワーステアリングがあります。
電動パワーステアリングは、電気モーターを使⽤して操舵補助を⾏うシステムです。
トルクセンサにより操舵⼒と路⾯反⼒を検知し、その情報を元に電気モータを制御します。
元々油圧式で補助していたパワーステアリングが、電動化されることで新しいセンサ需要が⽣まれています。
また、電動パワーステアリングは⾃動運転においては「曲がる」をつかさどるシステムです。
精密な制御が求められるため、⾼精度センシングが必要不可⽋と⾔えます。
これらの例のように、快適性向上、システムの電動化やより精密な動作のためにセンサの重要性と必要数が更に⾼まっていきます。

   

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他にも、この表に挙げたとおり、様々なアプリケーションにセンサが使⽤されています。
特に注⽬なのは、インバータやオンボードチャージャー、バッテリーマネジメントシステムといったEV/PHEVに必要なアプリケーションにもセンサが必要なことです。
インバータとオンボードチャージャーには電流センサが、バッテリーマネジメントシステムには温度センサが搭載されています。その為、EVシフトが進んでいくと更にセンサの需要が⾼まっていくことは間違いないでしょう。

また温度や電流を監視することは、それらの制御だけではなく、異常を検出するための常套⼿段でもあります。今後、機能安全の実現の為、いままでセンサを搭載していなかった様々なアプリケーションでもセンサの搭載が広がると考えられます。

   

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まだまだ他にも、センサが必要とされる箇所は多く、また、センサの種類も温度・電流・圧⼒など様々なのですが、センサの使われ⽅⾃体は⼤きく 次の2種類に分類することができます。

センサがシステム制御基板内に配置され、制御基板上からその基板上、または基板周辺の状態を監視するオンボードタイプと、センサがシステム制御基板とは別基板に搭載され、それらを⻑い配線により接続することでシステム制御基板から離れた箇所の状態をセンシングするオフボードタイプです。

アプリケーションの電装化による機電⼀体化が進んでおり、システム制御基板の配置箇所には制約があります。また、制御の為には配置箇所より離れた箇所のセンシングが必要となる場合も多く、オフボードセンサの需要が⾼まっています。

本webinarではこのように需要⾼まるオフボードタイプの「オフボードセンサ」についてお話させていただきます。

   

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オフボードタイプの構成をもう少し詳しく⽰したものがこちらの図になります。
制御ボードからはオフボードセンサに電源供給を⾏い、オフボードセンサはMCUに対してセンシングした情報を伝えます。

ここでオフボードタイプのセンシングへなにが要求されるかについて考えてみましょう。
まず最も重要なことは「⾼精度にセンシングする事」です。これはオンボードタイプに限られた話ではなく、センサを使⽤するすべての場合に求められます。

次に要求されるのは、⾼信頼です。⾼安定性といってもいいかもしれません。
先ほど、センサは「⽬」であるという話をしましたが、その「⽬」が情報を取得して制御ボードに伝えることができないとシステムの制御を正しく⾏えません。
その為、安定したセンシングが不可⽋となります。最も⼤切な要求である⾼精度を実現する為には、単純に考えると、⾼精度なセンサを使⽤すればよいとお考えになるかと思います。
これは正しいのですが、その⾼精度センサのパフォーマンスを最⼤限発揮するには、制御ボード側に搭載された電源ICやMCUにも気を遣う必要があります。
また、現状のセンサから⾼精度センサに変更しなくとも、制御ボード側の構成を⼯夫することで求める⾼精度センシングを実現できるかもしれません。

ということでこの次は⾼精度、⾼信頼の実現の為、センサーに電源供給する電源ICができることを紹介いたします。

   

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1つ⽬は、「温度や負荷の変化によりセンサに供給される電源が変動し、センシング精度が悪化する」ことです。
レシオメトリックセンサと呼ばれる、電源電圧に依存性をもつセンサを使⽤する場合、電源電圧のばらつきがセンシング精度に影響を与えます。

2つ⽬は、「⻑い配線経路上でのトラブルによるECUの故障や破壊」です。
オフボードセンサはワイヤーハーネスで制御ボードと接続されるため、その経路で電源やグランドの配線に接触することが懸念されます。
それらの配線との接触が起こるとオフボードセンサに電源供給が停⽌する為、センシング⾃体できなくなります。更に状況によってはECUの故障や破壊につながります。

3つ⽬は、「ノイズに起因するセンシング不良」です。
⾞載のアプリケーションは様々な外部からのノイズにさらされます。
ノイズに弱い電源ICによって電源供給を⾏った場合は、ノイズの影響を受けセンシングできないや間違った値をセンシングするなどといったセンシング不良を起こす可能性があります。

これら3つの課題からわかるように、オフボードセンサでは、どれだけ⾼精度なセンサを使⽤しても、制御ボード側から電源が正しく確実に供給されていないと思い通りの⾼精度センシングは実現できません。

これらの課題を全て解決することができる電源ICがエイブリックのボルテージトラッカです。

   

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エイブリックの⾞載⽤ボルテージトラッカIC S-19720シリーズは2021年11⽉に量産を開始した、業界最⼩のオフセット電圧・業界最⼩のパッケージで、⾼精度センシングに貢献する電源ICです。
Webinarのタイトルにもある”ボルテージトラッカ”になじみのない⽅も多いと思いますので、先ずはボルテージトラッカがどのような電源ICなのかを説明させていただきます。

   

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ボルテージトラッカとは、ADJ端⼦に⼊⼒される電圧と等しい電圧をVOUT端⼦に出⼒するICです。
このようにADJ端⼦に5.0Vが⼊⼒されている場合はボルテージトラッカのVOUT端⼦から5.0Vが出⼒されます。
この図は先ほどと同様に制御ボードからオフボードセンサに電源供給がされ、そのオフボードセンサの出⼒を制御ボード上のMCUが受け取ることでセンシングを⾏います。
ここでオフボードセンサにはセンシング結果に電源電圧依存を持つレシオメトリックセンサの使⽤を想定しています。
例えば何らかの原因でADJ端⼦に⼊⼒される電圧が5.1Vに上昇した場合はそれをトラッキングしてVout端⼦からは5.1Vが出⼒されます。
ADJ端⼦に⼊⼒される電圧が4.9Vに下がった場合も同様で、ADJ端⼦の電圧と同じ4.9VがVout端⼦から出⼒されます。LDOなどのレギュレータでは、⼊⼒電圧や負荷電流が変化した場合も指定された出⼒電圧をキープしますが、トラッカはその名の通りADJ端⼦の電圧をトラッキングして出⼒電圧が変化するのが最⼤の特⻑です。
このような特徴をもつボルテージトラッカを使⽤するメリットは、⾼精度なセンシングに貢献可能なことと、オフボードレシオメトリックセンサへの電源供給ラインで発⽣する天絡や地絡からMCUを保護できることです。
まさに⾼精度・⾼信頼センシングを阻害する電源ICの様々な課題を解決するためのICなのです。これらのメリットについて詳しく説明させていただきます。

   

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まずは1つ⽬のメリットである“⾼精度なセンシングに貢献可能なこと”について説明させていただきます。

   

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LDOを使⽤した場合と、ボルテージトラッカを使⽤した場合を⽐較してみましょう。
先ずはオフボードセンサの電源にLDOを使⽤した場合です。
LDO1はMCUと内部ADコンバータのVrefへ電源供給を⾏い、LDO2はオフボードセンサへ電源供給を⾏います。
センサからの情報はMCUのADコンバータに伝えられ、MCUはオフボードの状態を確認することが可能になります。
オフボードセンサはレシオメトリックのリニアホールICを想定しています。
右の図は縦軸にリニアホールセンサの出⼒、横軸に磁束密度を取ったグラフです。LDO1とLDO2の電圧が等しいときには⿊⾊のラインで⽰した通り実際の磁束密度が0mTの場合にリニアホールICが2.5VをMCUのADコンバータに伝えるので正確に磁束密度が0mTであることをセンシングすることが可能です。
ですがLDO1とLDO2の出⼒電圧は、同じ設定電圧の同⼀品番を選んだとしても、それぞれが持つ製造ばらつきや、それぞれが受ける温度変化⼜は電流の変化によって、異なった値となります。

ここで、オフボードセンサの電源電圧だけが温度変化によって5.0Vから4.9Vに下がった場合を考えてみます。そのセンシング結果はこのようになります。電源電圧が5.0Vのとき、0mTで2.50Vであるオフボードセンサの出⼒信号は、電源電圧の低下に⽐例して下がり2.45Vに変化します。
その結果、LDO1から変わらず5.0Vの基準電圧を受けているADCではオフボードセンサ信号の読み取り誤差が発⽣してしまいます。電源電圧のずれが正確なセンシングを妨げているとがお分かりになられるかと思います。これはLDO1の出⼒電圧のみが変動した場合も同様です。

   

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次にLDOではなくボルテージトラッカを使⽤した場合を考えてみます。
ボルテージトラッカのADJ端⼦にはLDO1の出⼒を接続します。オフボードセンサの電源にボルテージトラッカを使⽤した場合は、先ほどLDOで発⽣した問題を解決することができます。
LDO1の出⼒電圧が温度変化によって5.0Vから4.9Vに下がっても、ボルテージトラッカの出⼒電圧はADJ端⼦へ⼊⼒された電圧に追従するため4.9Vを出⼒します。
これによりADコンバータに⼊⼒される基準電圧とレシオメトリックセンサの電源が同じ電圧になるため、正確に磁束密度を読み取ることが可能になります。
これがボルテージトラッカを使⽤することによる”⾼精度センシングに貢献可能”というメリットです。

   

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続いて⼆つ⽬のメリットである“天絡や地絡からMCUを保護”について説明させていただきます。

   

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オフボードセンサーとMCUの電源を共通にした場合を考えてみましょう。
通常、⾞載のオフボードセンサはワイヤーハーネスを通じてECUから電源供給や信号のやり取りをしています。
意図しない故障によってワイヤーハーネスが電源ラインとショート(=天絡)、⼜はグランド(GND)とショート(=地絡)した場合、接続先にあるMCUが故障することでECUに異常を発⽣させてしまう可能性があります。

電源にボルテージトラッカを使⽤することでその問題は解決します。ボルテージトラッカには、各種の保護機能が内蔵されています。それらの保護機能が天絡や地絡からMCUやICを保護可能です。
天絡や地絡の際、具体的には次のような保護回路が働きます。

   

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先ずは天絡時です。
繰り返しにはなりますが、天絡とは、制御ボードからのオフボードセンサへの電源供給ラインが別の⾼い電源ラインと接触することです。
それによりオフボードセンサの電源供給ラインが、ECU側より⾼い電圧となるため逆流電流が発⽣してしまいます。その電流により、MCUの故障や破壊が起きることでシステム全体が正常に動作できなくなります。

ボルテージトラッカに内蔵された逆流電流防⽌機能は天絡時にボルテージトラッカの出⼒端⼦から、ECU内部へ電流が流れ込むのを防⽌する機能です。

   

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次に地絡時です。
地絡とは制御ボードからのオフボードセンサへの電源供給ラインがグランドラインと接触することです。それにより電源供給ラインはグランドとほぼ同電位になるため、電源ICは出⼒電圧を設定電圧まで上げるため⼤量に電流を流し込みます。
その電流は電源ICの発熱の原因となり、場合によっては破壊につながります。

ボルテージトラッカに内蔵された過電流保護機能およびサーマルシャットダウン機能は、ボルテージトラッカの出⼒端⼦の地絡時に発⽣する、過⼤な電流や⾃⼰発熱から、ボルテージトラッカを保護します。
この⼆つで地絡時にボルテージトラッカが破壊する事を防ぎます。ボルテージトラッカは、これらの各種保護機能によってワイヤーハーネスの天絡や地絡からECUおよびMCUを保護することができます。

ボルテージトラッカがオフボードセンサへの電源供給する電源ICとしていかに有益であるかご理解いただけたかと思います。

   

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ではエイブリックのボルテージトラッカICS-19720シリーズの細かい製品仕様についてご紹介させていただきます。
特⻑は先ほどもお伝えした通り“業界最⼩のオフセット電圧”、“業界最⼩⼩型パッケージ搭載”、”低消費電流”になります。
詳しい電気特性は以下の通りです。⼊⼒電圧は動作最⼤36V/定格45V、出⼒電流は50mAです。
オフセット電圧は最⼤出⼒電流の50mAまで業界最⼩の±5mVです。
消費電流は動作時30uA、停⽌時4uAです。オフボードセンサはイグニッションオフ時には動作しないためパワーオフされます。パワーオフ時の消費電流を抑えることでシステム全体の暗電流削減に貢献可能です。
また本製品は80dBと⾮常に⾼いPSRR(リップル除去率)を有しています。これにより本ICの⼊⼒側の電源ラインに乗ったノイズの影響を⼩さくすることが可能なのでセンシング不良の発⽣を抑えます。
先ほど説明いたしました天絡や地絡からの各種保護は当然搭載しています。
パッケージは業界標準のSOT-23-5と2mm×2.5mmと業界最⼩のHSNT-6(2025)をラインナップしております。

S-19720シリーズは業界最⼩の低オフセット電圧で⾼精度センシングに貢献いたします。

   

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ボルテージトラッカの使⽤例です。
このブロック図はセンサー搭載数のお話をさせていただいた際にご紹介した電動パワーステアリングを想定しています。
⻘の箱がエイブリック製品になっています。
ボルテージトラッカは離れた位置に設置されたトルクセンサーに電源供給をします。MCUの電圧供給・電圧監視・MCU動作監視と複数の機能を1chipに搭載したWDT内蔵LDO、ECUへの⼊⼒電圧を監視するためのバッテリーモニタリングIC、モータの回転を検知する為のホールIC、エラーのログなどを記憶しておくためのEEPROMなどの製品もご提案可能です。

次は実際にS-19720シリーズがどれくらい低オフセットなのかを評価動画を交えて説明させていただきます。

   

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評価回路と評価条件をはこのようになっています。
ボルテージトラッカICの⼊⼒には13.5Vを印加、トラッキング電圧を⼊⼒するADJ/EN端⼦には5.0Vを印加、出⼒のVout端⼦とADJ/EN端⼦の電圧差分をオフセット電圧として測定を⾏います。
負荷電流はセンサ負荷を想定して3種類2.5mAは低消費センサー使⽤を想定、7.5mAは⼀般的なセンサー使⽤を想定、15mAはセンサーの複数個使⽤を想定しています。
温度は25℃、85℃、125℃の3条件で測定を⾏いました。また今回の評価では参考データとして業界標準品を同条件で評価しました。

   

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先ずは標準的なセンサへの電源供給を想定して負荷を7.5mAとして評価を行いました。
右の測定器が実際の評価動画になっています。
上段の青枠で囲まれたのがオフセット電圧、下側のピンク枠で囲まれたのが負荷電流になります。 左側はS-19720シリーズの評価基板に接続された測定器で、 右側は業界標準品に接続された測定器になりそれぞれの測定結果を表示しています。
評価結果はこのようになっています。

見ていただければわかる通りどちらのオフセット電圧も0.1mV以下と 非常に高精度にトラッキングできている事が分かるかと思います。

次に様々なセンサー使用を想定して負荷電流を変えていきます。

   

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次はセンサ複数個使用を想定して負荷を15mAにしました。その他の評価条件は先ほどと同じです。

S-19720シリーズも若干オフセット電圧が大きくなりましたが 業界標準品はオフセット電圧が1mVを越えてしまいました。
複数個のセンサ使用を想定した場合には、 S-19720シリーズの方がオフセット電圧が小さい結果になりました。

   

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次は低消費センサ使用を想定して負荷を2.5mAにしました。 先ほどの同じくその他の条件は変更していません。

こちらでは先ほどのセンサー複数使用を想定した場合より、更に業界標準品のオフセット電圧が悪化しました。
S-19720シリーズは相変わらず1mV以下のオフセット電圧を保持しています。

低消費センサを使用を想定した軽負荷時でもS-19720シリーズのオフセット電圧が小さいという結果になりました。

   

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追加でS-19720シリーズのデータシート記載の仕様保証内で負荷電流を変化させてみました。

先ずは軽負荷の0.1mAです。
実際このレベルの負荷のセンサは使用する事はないと思いますが、 負荷起動はゼロからの始まるのでここも動作条件には含まれると考えます。

次に最大電流の50mAです。
先ほどのセンサ個数を更に増やした場合の想定です。
業界標準品は使用動作範囲内でもセンサの個数の増加に伴う負荷電流増加によって、ますますオフセット電圧が大きくなる傾向を持つことが分かりました。
逆に0.1mAという軽負荷から動作最大の50mAまでのどのような負荷条件でもS-19720シリーズは1mV以下のオフセット電圧をキープしています。

   

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次に温度を変化させた場合のオフセット電圧評価です。

負荷の条件は通常のセンサ使用条件である7.5mAで行いました。
まずは85℃の場合です。 25℃では安定していた業界標準品は温度の影響を受けオフセット電圧が大きくなっています。

次に125℃です。 更に高温にすることで更にオフセット電圧が悪化しています。
S-19720シリーズも温度に依存してオフセット電圧が大きくなる傾向は見えるものの数値としては1mV以下に収まっています。

   

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実評価動画を⽤いてエイブリックのボルテージトラッカS-19720シリーズのオフセット電圧が業界最⼩、且つ、温度&負荷条件を変更したとしても安定していることがお分かりい頂けたかと思います。
評価動画ではポイントでの結果をご覧いただきましたが、過酷な⾼温環境125℃下での評価結果をまとめますとこのようなグラフになります。

S-19720シリーズは様々な条件下でも業界最⼩のオフセット電圧で⾼精度センシングに貢献します。

   

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続いて保護回路の評価です。地絡保護機能の評価はこのような接続で実施します。
⼊⼒電圧は13.5V、トラッキング電圧は5.0V、負荷電流は通常センサ使⽤の7.5mAです。
この正常動作状態からVoutとVSSをショートさせて保護回路の機能を確認します。

   

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地絡評価の波形が右図になります。
上から⻘⾊がVIN/⽔⾊がVOUT/緑⾊がIOUTの波形です。
まず電源経路で地絡が発⽣します。VOUTが0Vになる為、過⼤な電流が発⽣するのを過電流保護回路が180mA程度にとどめています。
経路内のトラブルが改善され地絡から復帰した後は正常に電源供給をしています。
実波形からもお判りいただける通り地絡が原因で発⽣する故障や破壊からICを保護します。

   

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次は天絡保護機能の評価です。
試験はこのような接続で実施します。⼊⼒電圧は13.5V、トラッキング電圧は5.0V、負荷電流は通常センサ使⽤の7.5mAです。10000uFの容量を16Vにチャージしておきます。
この正常動作状態からVoutと16Vにチャージした容量をショートさせて保護回路の機能を確認します。

   

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天絡評価の波形が右図になります。
上から⻘⾊がVIN/⽔⾊がVOUT/緑⾊がIOUTの波形です。
まず電源経路で天絡が発⽣します。VOUTが16Vになり為、VIN13.5Vと電圧が逆転します。
本来であればVOUT側からECU⽅向に流れ込む電流が発⽣するのですが、それを逆流電流防⽌機能が動作することで逆流電流を流しません。
経路内のトラブルが改善され天絡から復帰した後は正常に動作しています。

このように天絡の場合もボルテージトラッカがECUを保護している事がお分かりになるかと思います。地絡と天絡からの保護動作について説明させていただきました。

   

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最後にエイブリックの⾞載⽤ICの優位点をまとめさせていただきます。
私たちのビジョンである3Sに基づいた、SMALL:業界最⼩パッケージに搭載で基板⾯積削減に貢献、SMART:業界最⼩オフセット電圧と低Off時消費電流で暗電流削減、SIMPLE:各種保護機能を搭載することで安全な電源供給が可能、更に20年の⾞載実績があります。
この実績と⾃社⼯場での⼀貫設計による⾼品質な製品・ソリューションを提供可能です。
回路提案やシミュレーションサポート、評価ボード提供など、きめ細かく、迅速なフォローも可能です。

我々エイブリックはこれらを全て⽤いることで⾼精度・⾼信頼センシングを⼿助けします。

   

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本⽇の内容のまとめです。
電動化・多機能化により⾞両へのセンサ搭載数が増加している事をお話させていただきました。
その理由は、電動化により今まで需要がなかったシステムにもセンサが搭載されることや多機能化要求により様々な種類のセンサが搭載されることで搭載数が増加すると予想されるためです。

センサによるセンシングには⾼精度と⾼信頼が求められます。
⾼機能を実現するためには細やかな制御が要求されます。その実現には⾼精度センシングが必要不可⽋です。センサからのインプットがないと制御を決めることができない為、センシングには⾼い信頼性も求められます。

それらの要求に応えるための⼿段の⼀つとしてエイブリックのボルテージトラッカ“S-19720シリーズ”を紹介させていただきました。
業界最⼩のオフセット電圧・各種保護機能・低パワーオフ時消費電流・⼩型と様々の尖った仕様の製品ですので、オフボードセンサの電源供給のお困りごと解決に貢献できると考えます。

もし今回ご紹介したようなお困りごとがありましたら、それら問題解決にエイブリックのボルテージトラッカのご検討はいかがでしょうか?

   

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エイブリックには本⽇ご紹介させていただいたボルテージトラッカーIC以外にも⾞載製品を数多くライナップしております。

LDOやスイッチングレギュレータに代表される定電圧ICから電圧を監視するためのバッテリーモニタリングIC、MCUの動作を監視する為にウオッチドッグタイマ、アンテナやカメラの接続監視IC、⽇本国内シェアNo1のEEPROM、センサとしては磁気センサをライナップしております。タイマやリチウムイオン電池の保護⽤ICなどもご提案可能です。

ご興味ある⽅は是⾮エイブリックのHPからご確認ください。

   

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本⽇ご紹介しましたボルテージトラッカIC S-19720シリーズですが、弊社提携のECサイトから今すぐご購⼊いただくことが可能です。
ご興味をおもちいただければご覧のQRコードから専⽤ページへアクセスしていただくか、もしくは弊社販売窓⼝へお問合せください。

本⽇の“EVの⾼精度センシングに最適なボルテージトラッカ”のご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

 


ボルテージトラッカ S-19720シリーズ



 サンプル在庫を確認



 

ウェビナー概要


タイトル EVの高精度センシングに最適なボルテージトラッカ
講演 エイブリック株式会社 プロダクト・プロモーションユニット
武田 尚久
日時 2022年6月14日(火)14:00〜15:00
参加方法 オンライン(Teams ライブイベント)
参加費 無料

※ 会社やご自宅のパソコンからご参加いただけます。» 推奨視聴環境
※ カメラ、マイクはオフのままご参加いただけます。
※ 後日録画配信も予定しております。当日ご参加いただけない場合もぜひご登録ください。
 

アジェンダ


自動車は100年に一度の大変革の時代を迎えています。
急速なEVシフトによって、周辺情報や車両内部の情報をセンシングする為のセンサの搭載が増加しています。

本ウェビナーでは、重要性の高まるセンサの中でもオフボードセンサに注目して、それらへの電源供給に最適なボルテージトラッカICの基本的な動作を説明させていただきます。
より安全な高精度センシングの実現に貢献するエイブリック製品をご提案いたします。

 

対象


  • 車載機器開発担当者・設計者